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常盤 哲也; 石井 英一; 舟木 泰智; 津坂 仁和; 真田 祐幸
Proceedings of 3rd International Workshop and Conference on Earth Resources Technology 2009 (CD-ROM), p.159 - 168, 2009/12
原子力機構は、高レベル放射性廃棄物の地層処分に関する研究開発として、幌延地域において地下施設を用いた幌延深地層研究計画を進めており、現在換気立坑と東立坑の坑道掘削を行っている。本研究は、小断層解析によって断層系の特性を把握し、断層系と坑道掘削に伴う岩盤挙動との関係について調べた結果である。本地域では、ボーリング孔を用いた初期地圧測定が行われており、最大主応力方向は東西方向であるという結果が得られている。一方、換気立坑における内空変位の最大圧縮方向は北北東-南南西から北東-南西方向であり、両者の結果は異なる。その原因として、初期地圧測定は健岩部を対象とした測定であり、断層系を考慮していないことが考えられる。そこで、断層系の特性を把握するため、換気立坑近傍で行われた先行ボーリングにより得られたコアを用いて小断層解析を行った。その結果、小断層解析によって得られた最大主応力方向は、換気立坑における内空変位の最大圧縮方向と調和的であり、断層系が岩盤挙動に影響を与えている可能性を示唆する。今後、立坑において今回のようなアプローチを行うことで断層系と岩盤挙動の関係を詳細に把握できると考えられる。
横田 秀晴; 戸村 豪治; 前川 恵輔
Proceedings of 3rd International Workshop and Conference on Earth Resources Technology 2009 (CD-ROM), p.169 - 178, 2009/12
原子力機構では、高レベル放射性廃棄物の地層処分の技術開発の一環として、水理地質構造や坑道掘削に伴う地下水圧の変化を把握する技術の信頼性向上のため、北海道幌延地域においてボーリング孔(HDB-1, 3, 4, 611孔)を用いた地下水圧等の長期モニタリング試験を行っている。これまでのモニタリングの結果、現在掘削中の立坑に最も近い2つのボーリング孔(HDB-3, 6孔)では、地表からの深度が異なるにもかかわらず特定の地層境界付近において立坑掘削に伴うと考えられる水圧の低下が認められた。また、各ボーリング孔における季節変動に連動すると考えられる地下水圧の変動域は地表から地層境界までの区間であることから、本地域のような堆積岩分布域における水理地質構造は深度ではなく大局的な地質構造に支配されることが示唆される。今後、モニタリングを継続し、表層水理調査結果や坑道掘削により取得される地質構造に関するデータとの比較から、地質構造と地下水圧の応答の関係を整理することにより、堆積岩分布域における水理地質構造に関する知見を深める。
真田 祐幸; 杉田 裕; 藤井 義明*
Proceedings of 3rd International Workshop and Conference on Earth Resources Technology 2009 (CD-ROM), p.149 - 158, 2009/05
坑道周辺に発生する掘削影響領域は、物質の主要な移行経路になる可能性があることから地層処分の性能評価において重要な課題として位置づけられている。そこで、本研究では掘削影響領域の岩盤性状のモデル化に資する情報を取得するために、幌延深地層研究所の立坑壁面の断面形状計測と立坑周辺の岩盤内に埋設された地中変位並びに支保部材の応力測定結果に基づき、立坑の掘削によって岩盤内に発生する損傷の規模と損傷を受けた岩盤の挙動について検討した。その結果、断面形状計測から、立坑の掘削が深部に進むにつれてボアホールブレイクアウトに類する規模の大きなスポーリング破壊が断続的に見られた。地中変位計測や支保部材の応力測定結果から、断面形状計測と同様に立坑の掘削が深部に進むにつれて立坑の壁面から1.5mまでの範囲で顕著な圧縮ひずみや応力が生じていることがわかった。したがって、損傷域の幅を推定するために、壁面観察から設定した立坑の地山区分から許容限界ひずみを算出し、それと地中変位計で得られた圧縮ひずみ量との対応を調べた。その結果、損傷域の幅は立坑の坑壁から1mまでの範囲であることが推定された。